一度歯を失い、インプラントを入れた患者さまは、歯への意識が高まる傾向があり、インプラントをした後に歯並びも気になるようになる方も多くいらっしゃいます。
とはいえ、インプラント後の矯正について不安やそもそも矯正が可能なのかなど気になることが多くあると思います。
そこで今回はインプラント後の矯正について説明していきます。

インプラントを入れた後に矯正治療はできない？

ブラケットでもマウスピース矯正でも基本的には矯正が可能です。

ただし、
☑ お口の中の状況やインプラントの本数で異なる
☑ インプラントの歯は動かせない
☑インプラントがやり直しになるケースはほとんどない
の3つの前提条件は、知っておいたほうが良いでしょう。

どういうことか、詳しく説明していきます。

お口の中の状況やインプラントの本数で異なる


先ほどお伝えしたとおり、インプラント後の矯正治療は基本的には可能です。
ただし、お口の中の状況やインプラントの本数によっては、矯正治療ができないケースもあります。

例えば、
・歯周病が進行してアゴ骨が薄い・少ない
・虫歯が進行していて、矯正の歯を動かす力に耐えられない
・インプラントの本数が多くて矯正ができない
このようなケースだと、矯正治療が断られることもあります。

では次に、なぜインプラントの本数が多いと矯正治療ができないかについて説明していきます。

インプラントの歯は動かせない


インプラントの歯は矯正をしても動かせないため、インプラントの本数が多いと矯正治療ができないことがあります。
なぜできないのかというと、インプラントの歯にはアゴ骨と直接くっついているために、矯正治療で歯を動かす際に大きな役割を果たす「歯根膜」が存在しないからです。

具体的に何本インプラントが入っているとできないのかは、
・どんな風に矯正するのか
・どんな歯並びなのか
・どこにインプラントが入っているか

で大きく答えが異なります。
インプラントをはじめとする治療もそうですが、矯正治療もまずは細かく検査をしてみないと、正しい診断結果が出せないのです。

インプラントがやり直しになるケースはほとんどない

インプラント治療後に矯正をはじめた場合でも、インプラントがやり直しになることはほとんどありません。

なぜなら、インプラントが入っている部位を計算して、矯正治療の計画を立てるためです。

ただし、
・上部構造は再製したほうが良い
・インプラントの位置が矯正治療の妨げになる可能性がある

といった2つの注意点があります。

まず、1つ目の上部構造の再製についてですが、こちらは矯正治療後に正常になったかみ合わせに合わせて、インプラントの上部構造だけを作り直したほうが良いケースです。

歯並びをキレイにするだけでなく、かみ合わせが合っていないと顎関節症や頭痛・肩こりなどの不定愁訴や一部の歯に負荷がかかり歯を失うリスクを高めるといったことがあるためです。

上部構造の作り直しには材料によって、5～20万円前後かかりますが、ご自身のこれからの健康のことを考えれば正しいかみ合わせにしっかりと合った上部構造を作り直したほうがよいでしょう。

2つ目のインプラントの位置が矯正治療の妨げになる場合ですが、こちらについては状況にもよりますがメリット・デメリットをふまえて、治療前のカウンセリングなどで矯正治療をするか否かや治療の進め方について、しっかりとよく相談する必要があります。

とにかく検査をしてみないと分からないことも多いので、インプラント治療後に矯正を検討される場合は、しっかりとカウンセリングをしてくれる歯科医院に相談するのがよいでしょう。その際は、インプラントと矯正を行っている歯科医院に相談をするとより的確な診断をしてくれます。

インプラント後に矯正できるかできないかを調べる方法


インプラント後に矯正できるかできないかを調べるためには、「歯科医院で適切な検査・診断を受ける」ことにつきます。

なぜなら、お口の環境は一人ひとり違うからです。

ベストな治療プランを立てるためには、
・インプラントを入れた本数
・歯並び
・虫歯や歯周病の進行状況

など、それぞれの口腔状態をしっかりと調べていく必要があります。

そして、それができるのが、歯科医院での専門的な機材を使った検査が必要になるからです。

治療計画は先に立てるのがおすすめ

もしインプラントと矯正の両方を検討しているのであれば、インプラントや矯正治療を始める前に、しっかりとカウンセリングを受けて治療計画を立てるのがおすすめです。

なぜなら、前述したようにインプラントは埋め込んだ後に位置を変更できないからです。

また、矯正治療は治療期間が長いため、インプラントを後から埋入する場合には歯がない部分をどうするか考える必要があります。

ちなみに、基本的な流れとしては矯正を行ってからインプラント治療をする順番になります。

だだし、インプラントが矯正治療に影響しない場合などは、治療計画が変わることもあります。

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