矯正治療と咬みあわせ治療の大きな違い

治療後に歯並びを悪化させないための噛み合わせ調整

矯正治療をご希望されてご相談にいらっしゃる患者さまの大半は、歯の見た目(歯並び)の改善を目的としてご来院されますが、1割ほどの方は嚙み合わせを治したいという希望で相談に来られます。

矯正治療は歯の見た目(歯並び)をきれいにするための治療だと思われがちですが、奥歯の噛み合わせを正しく治していくことで、不定愁訴(頭痛、肩こり、首の痛みなど)が改善する方が多くいらっしゃいます。

矯正治療を美容目的で考えられている方と、噛み合わせ治療として医療目的で考えられている方によっておすすめの治療方法も違ってきます。

矯正治療と審美治療の違い

歯並びをきれいにしたいとお考えの患者さんの選択肢として、歯を動かす矯正治療で歯並びを整える方法と、歯を削ったり抜いたりした後に、セラミック等の被せ歯で歯並びをきれいにする審美治療の2種類があります。

審美治療

審美治療

わかりやすく言うと、テレビに出演しているタレントの八重歯がいつの間にか治って、きれいな歯並びになっているのが、歯を削って治す審美治療です。

メリット

人に気づかれずに治療が完了する上に、治療期間も2~4カ月ぐらいで完了することです。簡単で他人に気づかれることなく、治療できるということが最大の売りでもあります。

デメリット

歯を削ったり、抜いたりするため、年月が経過すると、歯が弱くなっていまい、ダメになることがあるということです。とくに、若いうちに歯の神経をとったり、歯を大きく削ることは、20~30年経過したときのダメージが大きくなります。そのため慎重に考える必要があります。

矯正治療

メリット

歯並びと噛み合わせの関係性

歯を削ったりするダメージが少ないので、治療後には自分の歯が矯正前よりも長持ちすることがある点です。 また、全体矯正の場合は審美治療と違って、前歯だけでなく噛み合わせが悪くなる原因である奥歯を正しく治療できるので、噛みあわせの改善による体調の改善も期待できます。

デメリット

一般的には治療、矯正していると目立つこと、口腔内の違和感が大きいこと、治療期間が長くかかること等があげられます。

 

短期間で考えれば、審美治療の方がメリットが多いように感じるかもしれませんが、長い目で考えれば、矯正治療のメリットのほうが断然多いと思われます。

噛み合わせは前歯よりも奥歯が大切

iTeroエレメント

今までの矯正治療は前歯の歯並びを整えるために、小臼歯を抜いて前歯を奥にズラして並べていました。
しかし近年、そういう治療方法に対する疑問が投げかけられています。

理由としては、矯正治療後に不定愁訴(体調不良)が生じたり、見た目はきれいに並んでもしっかりと噛めない、どこで噛んでいいのかわからないといった不満が出たり、治療後に大きな後戻りがあるなどといったトラブルが頻発しているからです。
歯科医の中にも、矯正治療でこうしたトラブルや不満を何度か見たり、経験してしまうと、必然的に矯正治療に対して拒否感を抱くようになってしまいます。

今まで、歯並びの悪さの原因は歯と顎の大きさのバランスが悪いからだと考えられていましたが、実際は、奥歯が前方や内側に傾斜して倒れ、前歯がデコボコに並んでいるから歯並びが悪くなってしまっているのです。

目に見える事柄(歯並び)よりも、歯並びを悪くしている本当の原因を見つけ出さないと根本的な解決にはならないのです。
前歯の悪い歯並びもその原因を突き詰めると、実は奥歯にその解決のヒントが存在していたのが近年わかってきました。
奥歯を正しい位置に並び替えることによって体調も改善され、前歯もきれいに並ぶのです。

噛み合わせ不良が引き起こす症状

噛み合わせ不良と不定愁訴の関係

噛み合わせの不良が体に与える悪影響として、頭痛、肩こり、首の痛みなど体に与えると、テレビや雑誌などのマスコミで取り上げられる機会も増えてきました。
こうしたこともあって、これらの症状がひどい場合に、歯科医院で治療を受けようと希望される方も増えてきました。

噛み合わせが引き起こす問題として、大きく分けて筋肉系の問題(頭痛・肩こり・腰痛など)と自律神経系の問題(頸椎のねじれに由来する血管、神経などへの圧迫から生ずる、手足のしびれ・イライラ・生理痛など)の二つになります。
生理痛がひどくて歯科医院に行くというのは、イメージしづらいかもしれませんが、実際、噛み合わせの治療(矯正)をしてから生理痛がなくなったということを、多くの方が経験されています。
噛み合わせ不良と不定愁訴(頭痛・肩こり・めまい・耳鳴りなど)の関係には、不明な点も多く、同じような噛み合わせの人に治療しているが、両者の治療結果に大きな差が出ることもあります。

噛み合わせ不良と関係していると思われる症状

したがって治療前に「不定愁訴が100%治りますよ」と断言できない歯がゆさはありますが、噛み合わせのズレが健康に多大な悪影響を与えていることは、疑いようのない事実であり、今後とも噛み合わせの大切さが年々クローズアップされてくることは間違いないでしょう。
噛み合わせ不良と関係していると思われる症状には、頭痛・肩こり・耳鳴り・生理痛・生理不順・冷え性・手足のしびれ・腰痛・めまい・不眠症・鼻づまり・高血圧・イライラ・ぼんやりするなど多岐にわたっています。

矯正治療で不定愁訴はすべて完治するか?

患者さんが矯正治療を決断される動機

カウンセリング

患者さんが当クリニックで矯正治療を決断される動機には大きく分けて2つあります。
1つ目は見た目の歯並びをきれいにしたいというもので、もう1つが、頭痛、肩こり、生理痛などの不定愁訴を治したいということです。
後者の不定愁訴を治したいという人は、内科や整形外科・接骨院などいろいろな医院を転々としていたり、以前矯正治療をしたことによって体調を悪くしたりして、もう一度矯正治療をしてでも不定愁訴を改善したいという思いの方が多いのです。
そういった方にとって不定愁訴が完治するのかどうかはとても重要なことなのです。 不定愁訴の中にも比較的完治しやすい項目と、改善はしても完治しにくい症状がありますし、当然、患者さんによって治り方やスピードも違ってきます。

マウスピースを使用して、不定愁訴が改善したのを体験していただいて、そのマウスピースに合わせた噛み合わせをiTeroでスキャンしてその噛み合わせをゴールに治療を進めます。
また矯正治療後も不定愁訴が完治しない場合や気になる場合は引き続きマウスピースを使用していただく場合もあります。

矯正治療途中での噛み合わせについて

矯正治療で歯を動かす場合、矯正治療の初期段階では、いったん今の歯並びや噛み合わせを壊すため、理想とするゴール(歯並び・噛みあわせ)とは違う方向に動くこともあります。
そんなとき、本当にきれいに治るのかどうか不安になってしまう患者さんも少なくありません。

矯正治療では、昔の悪い歯並びや噛み合わせを残しながら治療するわけではなく、今までの噛み合わせを白紙の状態に戻してから正しい噛み合わせを構築していきますので、矯正治療の初期段階には右や左ばかりが当たったり、歯と歯の間に隙間ができたりしても全然問題ありません。

少しずつ正しい噛み合わせを作っていって、個人差はありますが、大体半年過ぎたあたりから正しい形に近づけていくのです。
不定愁訴の改善なども、矯正治療を始めたからすぐによくなるというわけではないので、ある程度の噛み合わせの土台が作られるまでの時間が必要です。

contactお問い合わせ

診療時間
9:00~13:00
14:30~18:00

▲ 14:00〜17:00