むし歯治療などの一般的な治療と違い、矯正は長い時間がかかるという印象をお持ちの方は少なくないと思います。いざ歯の矯正を始めてみようと思った時に、不安に感じる方も多い「矯正の治療期間」についてご紹介していきます。

大人と子供で異なる矯正の期間

そもそも、なぜ矯正治療には長い時間が必要なのか?その理由は、大きく2つあります。

歯や周囲組織にダメージを与えないため

実は歯は、「骨代謝」という破壊と再生を毎日繰り返しています。すなわち皮膚などと同じように、新陳代謝を行っているのです。矯正治療を行うときは、この骨代謝のスピードに合わせて歯を動かしてため、大体1ヶ月に1mmくらいのペースでゆっくりと歯を移動させる必要があるのです。
無理に強い力を与えても早く動かそうとすると、歯ぐきや歯の神経、歯の根っこなどにダメージを残す可能性があるため時間がかかるのです。

保定期間が必要なため


保定期間とは、矯正装置によって歯を動かした期間と同じくらい「保定装置」という取り外し式の装置を装着する期間のことです。これはせっかくきれいに並んだ歯並びの「後戻り」を防ぐために、重要な期間となります。

実は歯並びには、矯正装置で歯を動かしたとしても、元の位置に戻ろうとする性質があるのです。元に戻ってしまっては、せっかく時間をかけて動かした歯並びの意味がありません。そのため保定装置を使って、上下の歯の噛み合わせが定着させる必要があります。

◆大人の矯正期間は約1年~3年


矯正を始める年齢や矯正治療の方法、歯並びによって個人差があるため、おおよその目安期間が1年~3年です。歯並びが著しく悪い場合や、虫歯や歯周病の治療が必要ですぐに矯正治療に入れない場合は、矯正期間が長引く可能性があります。一方で、あまり矯正の必要がない人は数か月で完了するケースもあります。

◆小児矯正の場合

小児矯正には、Ⅰ期治療とⅡ期治療があります。
≪Ⅰ期治療≫は乳歯が全て永久歯に生え変わるまでの治療(6~11歳頃が対象)
≪Ⅱ期治療≫は永久歯が生えそろった後の治療(12~20歳前後が対象)
を言います。

Ⅰ期治療から始めた場合は、12〜13歳頃まで続きます。Ⅰ期治療のみで矯正治療を終了する方もいますが、Ⅱ期治療に移行する必要があれば引き続き矯正治療を行います。

大人に比べると子供の矯正治療の期間は長く感じますがですが、子供の顎の成長に合わせて行う必要があるため、「早く終わらせる」ということはできないのです。

主な矯正装置の種類と平均治療期間

矯正装置には大きくわけて3つの種類があります。ここでは、それぞれの特徴やおおよその治療期間などについてご紹介します。

ブラケット矯正(唇側からの矯正)


歯の表側に付けるブラケット矯正は、一般的にイメージされるワイヤー矯正治療のことです。
歯の表面にブラケットと呼ばれる矯正装置を取り付け、それをワイヤーで固定することで歯を動かしていきます。ほとんどの矯正治療の症例に対応できるのが特徴です。以前は金属製の器具が大半でしたが、最近では透明・ホワイト・ゴールドなどの歯の色に馴染みやすい素材のパーツもあり、目立ちにくいものも増えてきました。
通院頻度は1ヶ月に1回程度ですその際に歯周病管理を行います。治療期間は1年~3年程度になります。

裏側・舌側矯正(歯の裏側からの矯正)


歯の裏側にブラケットを装着して矯正していく矯正の方法です。矯正装置を歯の裏側に付けることで目立ちにくいため人目を気にする必要がなく、人と接する機会が多い方や大事なイベントの前に矯正をしたいという方でも、気にせず矯正治療を行えるのが特徴です。
慣れるまでは発音しづらい期間がありますが、唇を傷つけにくいというメリットもあります。ただ。ブラケット矯正と同様に装置が外れやすい・ものが挟まるというデメリットもあります。
通院頻度は3週間に1度程度。治療期間は2年半程度になります。

マウスピース型装置での歯科矯正


透明で薄いマウスピースを使用して行う矯正治療です。
口腔内スキャナーによってスキャンした口腔内のデータや精密検査の診断を元に、治療のスタートからゴールまで事前にシミュレーションを行ってから治療を行います。
マウスピース型矯正は透明で目立ちにくいだけではなく、ご自身で取り外しができるため歯磨きがしやすく衛生的です。また、痛みが苦手な方や金属アレルギーの方も安心して治療をすることができます。マウスピースを1日20時間程度は装着する必要があり、それを守らないと矯正期間が長くなったり、しっかりと歯が並ばなくなるので注意が必要です。
オーダーメイドで作る専用の矯正装置は、1~2週間ごとにご自宅で交換することができるため、歯科医院への通院頻度も少なくなります。
通院頻度は、1ヶ月〜3ヶ月に1回程度。治療期間は約1~3年程度になります。

きど歯科