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- 2021.06.18
セファロで何がわかるの?
矯正治療に欠かせないセファロ検査とは?
歯並びや噛み合わせにはその人によってさまざまな個性があります。また、それが「正常」と呼ばれるものがあれば「不正」と呼ばれるものもあります。その人の歯並びや噛み合わせが「正常」か「不正」かの判断は、歯科医師に判断されます。
しかし歯科医師は、どういった情報をもとに歯並びや噛み合わせの特徴を捉えているのか、考えたことがありますか。その情報は、歯科医院で矯正治療をする前に行う検査とされているのが『セファロ検査』によるものです。この検査を行うことで歯科医師は患者さんの口腔内の状態を詳しく分析し、それをもとに正確な矯正治療を行います。
今回はこの『セファロ』について詳しくご紹介したいと思います。
矯正におけるレントゲンの重要性
「セファロ」をご紹介する前に、まず矯正治療におけるレントゲン撮影の重要性について説明します。まず矯正治療だけでなく、歯の治療においてレントゲン撮影はとても重要です。口腔内の状態は目視で確認できる表面からだけではわからないことが多く、X線(レントゲン)により初めて目には見えない歯の状態や骨の状態を把握することができます。
矯正治療の場合において、レントゲンで分析しなくてはいけないポイントは顎の骨の状態と歯の並び方です。その理由として、不正な歯並びや噛み合わせを正しく矯正するためには正確な原因の把握が必要だからです。
たとえば一般的に知られている「出っ歯」(上顎前突)のケースでは、上の前歯が前方に突き出ているように見える状態を指しますが、「出っ歯」に見えてしまう原因はひとつではなく、目で見るだけでは限定することができません。
まず「出っ歯」に見えてしまう原因としては、「上顎の骨が前方に突き出ている」あるいは「歯が前方に傾いている」であることはもちろんのことです。しかしこれ以外にも、「下顎の骨が後ろに下がっている」あるいは「下の前歯が舌側に傾いている」であることも「出っ歯」の原因となることがあります。
「出っ歯」になっている原因は必ずしも上顎や上の前歯にあると限定せず、下顎や下の前歯にも原因があるかもしれないと歯科医師は考えます。そういったことから、「出っ歯」の原因を特定するためにもレントゲン撮影はとても重要なものになるのです。
セファロとは?
「セファロ」の正式名は「セファログラム」といい、または「頭部X線規格写真」と呼ぶこともあります。つまり「セファロ」とはレントゲンの一種というわけです。しかしこの「セファロ」は通常の一般歯科で使われているレントゲンと異なっており、口のなかだけでなく顎を中心とした顔全体のレントゲンを撮影することができます。
しかし、矯正治療は不正な歯並びや噛み合わせを正常な状態に改善していくことが目的です。では「セファロ」により口のなかだけでなく顔のレントゲン撮影まで行うのはいったいなぜなのでしょうか。
セファロの必要性
歯科医師が患者さんの歯の状態を分析するために診察するポイントは、「口腔内」「顔の状態」「歯のレントゲン」等があります。また歯型取りを行い、模型を作ることで口のなかの見えない部分も把握します。そういったすべての情報をひとつの画像にまとめたものが「セファロ」になります。すなわち矯正治療をする上で顔全体のレントゲン撮影もすることはとても意義のあることなのです。
ではなぜ、矯正治療をするために何故「顔の状態」まで確認する必要があるのでしょうか。それは、歯並びや噛み合わせの状態は「顔」にも大きく影響しているためです。矯正をすることにより顔にも変化があらわれるため、その変化もしっかり観察する必要があり「セファロ」は非常に重要なものになってくるのです。
ちなみに顔の変化を観察する際は、正面から見てもその変化はあまりわからないものです。そのため「セファロ」では顔を横向きにして撮影を行います。この撮影方法によるレントゲンを「ラテラレセファロ」もしくは「側方頭部X線規格写真」といいます。さらに矯正治療においてはこの「セファロ」で撮影した歯や顎、顔などの変化を把握しやすくするために「計測点」というものを用います。
「計測点」とは歯科医師が「頭部」を含めた「顔」という全体的な観点から歯や顎の位置の分析をするために使われるものです。この「計測点」により不正な噛み合わせや歯並びを診断するだけでなく、子供の顎骨の成長の評価をすることも可能です。これにより本来の正しい顎骨の位置や歯の並びを理解することができ、また「セファロ」によるレントゲン画像から顎骨の状態や歯の並びなどの診断ができるのです。
「セファロ」を用いたレントゲン撮影と「計測点」による顎骨および歯の診断と評価は世界共通のものとなっています。よって日本を問わず全世界で行われている精密かつ正確な矯正治療は、この「セファロ」と「計測点」が用いられているといっても過言ではないのです。
また外科矯正の判定をするかどうかの診断、今後の成長予測や抜歯したときのスペースがロスしやすいかどうかなど通常のレントゲンではわからないことを調べることができます。
矯正を行う歯科医院選びの基準
しっかりとした矯正治療をする上でとても大切なものは、多くの情報です。「歯や顔の写真」「歯の模型」「レントゲン」といった矯正を進める上で変化が見られる部分の情報と、さらに顎の骨の状態や歯並びを評価するための「セファロ」。
これらがそろった上で正確でスムーズな治療を受けることができるのです。そのため「セファロ」によるレントゲン撮影を行っていない、また写真撮影、模型の採取など、どれかひとつでも欠いている歯科医院での治療には注意が必要かもしれません。