近年では、日本においても矯正歯科治療の普及が少しずつ進み、子どものうちから矯正治療を受けさせておくという親御さんが増えています。
子どもの成長期のうちから矯正治療を行うことで、上下の顎のバランスを整えたり、永久歯が生えるスペースを確保して非抜歯での矯正治療が行えるようになったりと、メリットがいろいろあります。
審美治療
成人になってからの矯正治療はどうでしょうか?
昔から歯並びが気になっていたけど治療する機会がなかった、人と接する仕事についているので歯並びを治したい、など様々なきっかけで矯正治療を希望されます。
そして、そのきっかけの一つに、少しずつ歯並びが悪くなった、という方が結構いらっしゃいます。

親知らずの影響

大人になってから歯並びが悪くなるケースで多いのが親知らずの影響です。
日本人の多くの方は顎が小さく、親知らずがまっすぐ生えてこないケースが多いです。
そういった親知らずは、傾いて埋まっていることが多く、その場合親知らずよりも手前の歯をグイグイと押してしまって、前歯が少しずつガタガタしてきてしまいます。
子どものうちからレントゲンなどで親知らずの向きなどを確認することで、ある程度予測することはできますので、歯並びに影響しそうな親知らずの場合は予防的に抜歯することも考えていただいた方が良いと思います。

歯が抜けてしまったことによる影響

大人になると様々な理由で歯が抜けてしまう、あるいは抜いてしまうことがあります。
歯が抜けてしまう理由としては、虫歯や歯周病が悪化した場合などがあります。
歯が抜けてしまったスペースをそのままにすることで、両脇の歯がスペースに倒れこみ、歯並びがあっという間に乱れてしまいます。
歯が抜けてしまったら、そのスペースを放置することなく、歯科医師に相談するようにしましょう。
ブリッジ(左右の歯を使って橋渡しをする)、入れ歯、インプラントなど、スペースを補う手段は色々とありますし、矯正治療でそのスペースを閉鎖することも可能かもしれません。

歯を支える土台(骨)の問題

歯は歯槽骨(しそうこつ)によって支えられています。
その歯槽骨が、歯周病に罹ると少しずつ減少してしまいます。それもほぼ自覚症状なしにです。
歯周病が悪化し、歯槽骨が少なくなると、歯が揺れるようになり、歯も勝手に移動し始めますので歯並びが乱れてしまいます。
自覚症状がないため、気付いた時には重度の歯周病になってしまっている方も多いので、歯科医院には数ヶ月に一度必ずメンテナンスに行きましょう。
また、叢生(ガタガタ)の方は特に注意が必要なので歯周病を予防するという側面からも矯正治療をお勧めいたします。

癖の影響

歯ぎしりや頬杖、飲み込む時の舌の癖などの影響で歯並びが悪くなることもあります。
こういった癖は成人に限った話ではありませんが、少しずつの影響が積み重なり、不正咬合につながっていきます。

生理的な歯の動き

人間の歯は、一生少しずつ動きます。
それを生理的な歯の動きと言います。矯正をした方も、していない方も生理的な歯の動きは付きまといます。
例えば、加齢に伴ってシミができたり、白髪が生えたり、体には様々な変化があると思うのですが、歯も同じで加齢変化があります。
ほとんどの場合異常な動きには繋がらないのですが、特に矯正治療を過去にされた方はこの生理的な歯の移動を後戻りと勘違いしてしまうので、
極力長く綺麗な歯並びを維持するためにも、保定期間を長めにとることをお勧めします。

きど歯科