子供の時に矯正治療しても、大人になってから元に戻ってしまうことがあると聞きました
患者さんに歯並びについての相談を受けた時、過去に矯正治療をしていたと聞くケースがあります。
つまり、「子供の時に矯正治療したが、また歯並びが悪くなってしまった」というケースです。
歯並びが元に戻った場合に考えられる可能性
子供の時に矯正治療したにもかかわらず大人になってから歯並びが元に戻ったのであれば、その原因として次の可能性が考えられます。
可能性1. 矯正治療後に歯を失っている
歯を失ってそのままにしておくと、歯を失った箇所は何もない…言わばスペースがあいた状態になります。そして、このようにスペースがあいた状態が続くと隣接する歯が移動してしまいます。歯がないことで隣接する歯が傾いてしまい、そのため歯並びが悪くなってしまいます。
可能性2. 歯並びが悪くなった原因が改善されていない
頬杖や舌で歯を押し出すなど、こうした癖が原因で歯並びが悪くなることがあります。子供の時に矯正治療すれば、癖が原因で悪くなった歯並びは確かに治るでしょう。しかし元々の原因となった癖が改善されていなければ、やがて同じように歯並びが悪くなってしまうのです。
可能性3. 適切な治療が行われていない
子供の時の矯正治療では、永久歯が正常な位置に生えてくるよう顎の成長を考慮した治療計画を立てます。そして永久歯が生えそろった後、改めて二期治療として本格的な矯正治療を行うことがあります。この二期治療が必要であるにもかかわらず行っていない場合、永久歯の歯並びは悪くなってしまいます。
可能性4. 保定装置を正しく装着していない
矯正治療は、治療中はもちろん治療後も重要です。移動した歯は後戻りによって元の位置に戻ろうとするため、それを防ぐために保定装置を装着します。このため保定装置の装着を正しく行わないと、せっかく矯正治療しても元の歯並びに戻ってしまいます。
骨格的な原因
面長な方など大人になる過程で歯並びを崩れる可能性があります
歯科医院選びの重要性
子供の時に矯正治療しても大人になってから歯並びが戻ってしまった場合の原因を上記で挙げました。その中で患者さんが注意しなければならないのは、「矯正治療後に歯を失う」と「歯並びが悪くなった原因が改善されていない」でしょう。
歯を失ったまま放置する、舌癖などがなおっていないというのは、患者さん自身で改善や対処しようと思わなければならないことですからね。問題なのはそれ以外の原因で、言わば歯科医院での治療に問題があるケースです。
そもそも矯正治療は難易度の高い治療である反面、法律的には歯科医師免許を所持していればどの歯科医でも行える治療です。このため、治療する歯科医院選びを軽く考えてしまうと質の低い治療を受けることになってしまうのです。