「矯正すると歯周病になる」ってホント?
矯正を受けた方の中には、いつの間にか歯周病が進行していたという方もいるでしょう。しかし、矯正したからといって歯周病になるわけではありません。
歯周病は、原因となる歯垢が溜まることで生じます。矯正中で以下のことに当てはまる方は、歯周病リスクが高まるので注意が必要です。
・ワイヤー矯正中で装置の周囲をしっかり磨けていない
・マウスピース矯正中で食後歯磨きせずにマウスピースを再装着している
・歯科クリニックで定期的なクリーニングを受けていない
矯正治療中は歯周病にならないように、セルフケアをしっかり行い、定期的なプロフェッショナルケアを受ける必要があります。
プロフェッショナルケアとは、歯医者でドクターや歯科衛生士から受けるクリーニングのこと。矯正中にこれらを怠ってしまうと歯周病リスクが高まりますが、矯正後歯並びがよくなり、歯ブラシが届きやすくなることで歯周病の症状が改善する方も多くいます。
歯周病をなおす方法は?
歯茎に炎症が起きたときの対症療法として、抗生剤を投与することがありますが、現在歯周病をなおす薬は存在しません。また、歯周病を完治させるのは難しいです。
歯周病治療は、以下のような方法で歯周病菌を増やさないようにコントロールして改善を目指します。
正しいブラッシングを毎日行う
歯医者のクリーニングで歯石を除去する
歯周病を悪化させる生活習慣を見直す
正しいブラッシングを毎日行う
歯周病菌を増やさないようにコントロールするには、原因となる歯垢を取り除き、溜めないことが重要です。自分では毎日正しく歯を磨いているつもりでも、実は磨けていなかったということは少なくありません。
自己流のブラッシングは、磨けない部分ができてしまうほか、歯茎を傷つけてしまうことも。正しいブラッシングを行うためにも、歯医者でドクターまたは歯科衛生士に教わるようにしましょう。
歯医者のクリーニングで歯石を除去する
歯垢はそのままにすると歯石になり、歯や歯茎の下で強固に付着します。歯石はざらざらしているため、さらに歯垢がつきやすい環境に。歯石はブラッシングで落とすことができないため、歯医者のプロフェッショナルケアを受けることが重要です。
なお、重度歯周病の場合、外科的手術で歯周ポケットを浅くしたり歯を支えている骨を再生させる手術を行ったりすることもあります。
歯周病を悪化させる生活習慣を見直す
丁寧なブラッシングや歯医者のクリーニングを受けていても、歯周病になりやすい方がいます。実は、歯周病は生活習慣に大きくかかわっているのです。
疲労やストレスは身体の免疫力が低下し、歯周病菌の活動が活発になる原因に。疲れを感じたときに「歯茎が腫れて出血した」という方は、免疫力が低下しているかもしれません。
また、歯周病を悪化させる生活習慣の中には喫煙も。タバコに含まれるニコチンは歯茎の血管を収縮させます。その結果血液の流れが悪くなり、酸素を嫌う歯周病菌が増殖してしまうのです。
ストレスの発散や睡眠時間を十分にとる、禁煙するなど、生活習慣の見直しを心がけることで、歯周病の悪化を防げます。
矯正中の歯周病を予防する3つのポイント
矯正中は健康な歯茎でいたいものですよね。矯正中の歯周病を予防するには、3つのポイントがあります。
・正しいオーラルケアを身につける
・補助清掃用具を使用する
・歯医者のクリーニングを定期的に受ける
正しいオーラルケアを身につける
オーラルケアとは、虫歯や歯周病予防のために、口腔内を清潔に保つことです。特に矯正中は、装置の種類に合ったオーラルケアを身につけておくと歯周病予防につながります。
たとえばワイヤー矯正は、歯にブラケットとワイヤーがついているため歯ブラシが届きにくく、矯正前と同じブラッシング方法では、装置の周囲についた汚れを取り除くことが困難です。そこでおすすめなのが、ブラケットとワイヤーの間に歯ブラシが入るように、下から歯ブラシを斜め45°に入れて小刻みに動かしていく方法です。
正しいオーラルケアやブラッシング方法は、歯科ドクターまたは歯科衛生士から指導を受けられるので気軽に相談してみましょう。
補助清掃用具を使用する
補助清掃用具とは、フロス・歯間ブラシ・タフトブラシ(ヘッドが小さく毛先が一つの歯ブラシ)など、歯ブラシ以外の道具のことです。歯ブラシで落とせる汚れは約58%。歯ブラシとフロスを使用すると歯垢除去率は約86%に上がり、約1.5倍の差があると言われています。*
歯周病のリスクを下げるためには、歯垢除去率を80%以上にすることが望ましいです。ワイヤー矯正など、歯に直接装置をつけている場合、矯正していない方よりも除去率は劣るため、補助清掃用具を上手く活用しましょう。
歯医者のクリーニングを定期的に受ける
セルフケアを丁寧に行っても落としきれない汚れはあるため、歯医者のクリーニングを受けることをおすすめします。歯医者のクリーニングでは、歯周ポケットの中の汚れを除去でき、加えて、歯の状態を確認してもらえるため、早期にむし歯・歯周病の発見もできます。