「歯ぎしり」の原因と予防
食べ物を噛むと、歯に40~60kgもの力がかかります!
皆さんは、普段生活していて「咬む」行為に意識を向けることはありますか?
「咬む」というのは上下の歯がかみ合わさったタイミングを指し、咬むと顎に力がかかります。これを「咬合力」といいます。
咬合力は、食事中や緊張しているときなど、気づかない間にかかっていて、食べ物を噛むときには40~60kg、意図的に思いきり歯を噛み合わせたときは、およそ70kgの力が歯にかかっていると言われています。これほどの力だとは驚きですよね!
咬合力がかかる時というのは、これだけではありません。癖で無意識に上下の歯をかみ合わせたり、かみしめたりした時に、過剰に力がかかってしまっていることが大半です。よくあるのが、寝ている間に強くかみしめてしまう「歯ぎしり」です。
歯ぎしりのセルフチェック
- 朝起きると奥歯が痛い
- 朝起きると顎が痛い、疲れている
- 慢性的な頭痛、肩こりがある
- 歯が欠けたり、割れたりしたことがある
- 頬の内側に、歯で噛んだ跡がある
- 集中しているとき、無意識に歯を食いしばっている
歯ぎしりがどのようなメカニズムで発生するのかは、正確なことは、現在まだわかっていません。しかし、正確ではないものの、考えられる原因はいくつかあります。
歯ぎしりの主な原因
・ストレス
圧倒的大多数が、このタイプです。
・食いしばりの習慣化
特に、スポーツ選手や力仕事をしている方など、瞬間的に力を発揮する職業に就いていると、歯を食いしばる行為が習慣化しやすいです。
・噛み合わせ、骨格
咬み合わせの異常や顎の変位、金属製の詰め物が合っていない場合なども、歯ぎしり、食いしばりが起きやすいです。
歯ぎしりを放置したときの影響
- 歯がすり減る、欠損する
- 歯周病が進行する
- 顎にダメージを与える
- 肩こりや頭痛になる
歯ぎしりをする状態が続くと、歯が削れたり、最悪の場合、歯が折れたりする場合もあるため、要注意です。
睡眠時の歯ぎしりの対策
歯ぎしりや食いしばりは、日中と夜間で性質が変わってきます。
日中に起こるのは、癖によるものが大きいです。したがって、その習癖に気づき、意識して改善しようと試みることが可能です。
しかしながら、夜間に起こるものは、意識コントロールで止めることが困難です。
通常、歯の組織には咬合力を感知するセンサーが存在し、強い力が加わると反射的に口が開く機能が備わっています。しかし、睡眠中はこの反射が抑制されてしまいます。日中の咬合力は、自身の体重程度と言われていますが、夜間の食いしばり時には、その2~5倍(体重60kgの方であれば、その5倍…なんと300kg! )になると言われています。
夜間の歯ぎしりの対策としては、主に次の3つが挙げられます。
- マウスピースをつける
- ストレスを上手に発散する
- 眠りの質を向上させる
最近は、市販のマウスピースなどもありますが、使い続けると顎関節を損傷させてしまう恐れもあるため、歯科医院で、患者様それぞれに合った専用マウスピースを作ることを、おすすめします。