あえて「歯の脱臼」を起こしてグラグラの状態にすることで、アンキローシスの歯を動かせる場合があります。
「歯の脱臼」という耳慣れない言葉に不安を抱かれる方もいるかと思いますが、この処置は口腔外科で行います。
この治療で、脱臼を起こしても動かせなかった歯は、歯列矯正以外の方法で対応する必要があります。その場合の治療方法は基本的に以下の2つです。
・アンキローシスの歯にかぶせものをして、歯の形を修正する
・抜歯してブリッジやインプラントを入れる
これらの治療を行うのは、アンキローシス以外の歯を歯列矯正で並べ終わった後です。
具体的な対応方法は、アンキローシスを起こしている歯の位置によっても変わります。しかし歯列矯正で動かせない歯があるからといって、歯並びを整えないまま、歯列矯正の治療を終えることはありません。
失活歯や再植、移植した歯はアンキローシスが5年〜10年のスパンで起きやすいと言われています。
アンキローシスは非常にまれではありますが、歯列矯正にともなう代表的なリスクの1つですので、ぜひ知っておいていただきたいものです。
歯列矯正をスタートする際には、現在のご自身の状況や考えられるリスクを理解した上で、治療にのぞんでいただきたいと思います。小さな疑問でも、矯正歯科医に相談しましょう。